退職した最強の神様、古代世界で人として暮らす〜狼とゾンビに抗い、村を守るために戦います〜(WEB版/原題:月宮奇譚1 狼と骸の王)– category –
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2 第二章 月宮
第二章の登場人物
月宮:神々が住む月の世界。 ウジ:原初の神。女神。ホムラ:炎の神。男神。世界の始まりとともに誕生する。クハラ:天神。男神。神を生む神。ムスビ:地母神。女神。生き物を生む神。ヒルメ:太陽神。女神。ヒノワ:月神。男神。イセ:風神。男神。ミツハ... -
3 第三章 穢れ
第二話 首にかけた勾玉が強烈な光を放つ。
灰色の毛並み。もし首がついていれば、大人よりも背丈が高かっただろう。首の周りには、赤黒い染みが広がっている。首の断面、肉の中心より少し上の辺りに白い骨が見える。昨日、首を落とした狼のように思われた。 剣を構え、獣に突進する。獣の動きは... -
3 第三章 穢れ
第一話 すでに、何者かの間合いに入ってしまった
両親を失ってしまったヤネリは、ウチナリに引き取られることになった。また、生まれたばかりのヤネリの妹はマホと名付けられ、暮らしに余裕のある村長の家で育てられることに決まった。 ミヒルとイセイ、オキヒは村長宅に一泊し、情報を交換していた。... -
2 第二章 月宮
第五話 お前は私の眷属になった。
「これは隠舟といって、一時的に神の力を使えるようにするものだから。地上には何があるかわからないから、気をつけて。」 イセは二柱を激励する。「いろいろと準備していただき、ありがとうございます。無事に務めを果たしてきます」 シラスに気負いは... -
2 第二章 月宮
第四話 神器
シキの案内で三柱はイセの住む宮を訪れた。川と森が近く自然が豊かであり、丈の低い草原の中に建てられていた。イセの宮ではあるが、ミツハとミカゴもともに暮らしているとのことだった。「いらっしゃい!さあ、入って!」 三柱をミカゴが迎え、廊下を... -
2 第二章 月宮
第三話 宴の席
ヒルメに通された板張りの広間の中央に鯛に、シキはとくに悪びれることもなく答える。「ウジ様とホムラ様に関しては、異次元すぎて知恵ではどうにもならないよ」 歓迎の宴が開かれた数日後。シラスとキサイの二柱のもとにシキが訪れた。「イセが君たち... -
1 第一章 狼
第一章の登場人物
ヤマク村 ヤネリ:五歳。サマトとヨミヤの三男。サク:七歳。サマトとヨミヤの次男。ヒウチ:十歳。サマトとヨミヤの長男。ウチナリの鍛冶場を手伝っている。サマト:二十六歳。ヒウチ、サク、ヤネリの父。ウチナリの鍛冶場で働いている。ヨミヤ:二十五歳... -
2 第二章 月宮
第二話 宴の席
シキの自己紹介にシラスとキサイは居住まいを正し座礼した。「俺の役割はお前たちに託して、地上で暮らそうと思う。おもしろい生き物が生まれたらしくてな。俺は神を辞める」 クハラの話ではムスビも神を辞めて地上にいる。ホムラも地上を放浪している... -
2 第二章 月宮
第一話 世界の始まり
男は気がつくと、広々とした板の間に胡座むと、女性も微笑んだ。不意に、引き戸が引かれて男性が広間に入ってくる。「待たせたな、お前ら。何もわからないと思うから、今からざっくり説明する。楽にして聞いてくれ」 唐突に現れた男は、ゆっくりと話し... -
1 第一章 狼
第十三話 お前らはなんでこんなところにいるんだ
ミヒルとイセイは、ヤネリの案内でヤマク村へ辿り着いた。村の空気は騒然としていて、そこらじゅうで血だらけの村人が運ばれている。その行先を視線で追うと、むき出しの地面に筵が敷かれ、その上に数人の村人たちが重ねられている。どの村人も血で汚れ...