1 第一章 狼– category –
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 1 第一章 狼
	第一章の登場人物
ヤマク村 ヤネリ:五歳。サマトとヨミヤの三男。サク:七歳。サマトとヨミヤの次男。ヒウチ:十歳。サマトとヨミヤの長男。ウチナリの鍛冶場を手伝っている。サマト:二十六歳。ヒウチ、サク、ヤネリの父。ウチナリの鍛冶場で働いている。ヨミヤ:二十五歳... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第十三話 お前らはなんでこんなところにいるんだ
ミヒルとイセイは、ヤネリの案内でヤマク村へ辿り着いた。村の空気は騒然としていて、そこらじゅうで血だらけの村人が運ばれている。その行先を視線で追うと、むき出しの地面に筵が敷かれ、その上に数人の村人たちが重ねられている。どの村人も血で汚れ... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第十二話 あんた一体何者だ?
「タオツキ……?」 ウチナリの呟を見つけた。「……ああぁ、サク……」 ウチナリはサクに駆け寄り、座り込んで動かなくなった。オキヒはウチナリが少し落ち着くまで待ったほうがいいだろうと判断し、周囲の探索を再開する。狼の死骸を数体見つけた他には、一... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第十一話 その仔を返すなら、我も人の子を見逃そう
「その子のそばから離れなさい!」 オオシがヤネリに牙を突き立てようとしているところに、敵意のこもった警告が届く。その声に抗うことがなぜか躊躇りつき、悲鳴を上げた。 「……ミヒル様……」 イセイは悲しんでいる仔狼を痛ましそうに眺める。責められて... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第十話 返り血を浴びた顔には、薄笑いが貼り付いていた。
狼から幼いナギを助け出したオキヒは、ヤマク村に着くと狼に囲まれた。村では狼の群れに襲われた村人たちが逃げ惑い、騒然として収拾がつきそうになかった。ナギや、ナギに託されたやっちゃんやさっちゃんという人物について尋ねるどころではなさそうだ... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第九話 噛まれるのは痛いだろうな。
サクは狼に囲まれながら、自分の背と木の間にヤネリを庇えた。しかし、気づけば後ろから別の狼が迫っており、首に噛みつかれる。 こひゅ、というような息が漏れ、目の前が暗くなる。首が熱い。体は寒い。「さっちゃん!さっちゃん!はなして!」 ヤネ... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第八話 交渉の余地
あれから毎日一匹ずつ、あの不気味な男に群れの狼は殺され続けた。朝方に群れの狼たちは眠りにつくが、目覚めると殺された仲間を発見する。オオシも起きて警戒していたが、数十匹の狼を常に守り続けることはできない。それを考慮しても、何度も見つから... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第七話 君はただ、巡り合わせが悪かっただけだ。
その者がこの地を訪れたのは、実験の条件に合う獣を探すためだ。見当をつけていたので見つけるのはそれほど難しくなかった。当てはまったのは狼。想像の範囲内だ。その狼の群れは人里の一部に交わる形で縄張せっているタオツキという男に目をつけた。狩... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第六話 大きな狼が口を開けて子どもに迫る。
ミヒルとイセイは故郷で下された使命を帯びて、この地に辿り着き舟を降りた。今までのところ、旅は順調と言えた。難なく、と評価してよいだろう。時間をかけず三つの使命のうちの一つをすでに果たすことができた。いま、彼らは導かれるままに森の中へ分... - 
	
		
 1 第一章 狼
	第五話 狼の目から見ても知性が感じられない。
まずはこの狼の群れをなんとかしなければ、容体けて落ちた。 オオシは大人の人の背丈を超えるほど大きな身体を持つ狼で、タカマ山の麓り、行動をともにすることになった。同じようにして近くを縄張りとしていた群れがいくつかオオシの群れに加わり、仲... 
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